建築巡りの備忘録

最近始めた建築巡り。見学して気付いたことの覚え書き。

金沢21世紀美術館① とにかく楽しい!でもなんで?

設計: SANAA

訪問日:2018年8月7日(火)

 

 

鈴木大拙館から歩くことわずか10分で、金沢21世紀美術館に到着。このときはまだ、21美が鈴木大拙館とは対照的であることに気付いていなかったのですが、全く方向性の違う2つの素晴らしい美術館がこれだけ近くにあることに感動しましたね。恐るべし、金沢!(さらに後日、兼六園や石川県立美術館も近辺にまとまっていることを知り、戦慄することになります。)

 

そもそもなぜ金沢に行くことにしたか、その一番の理由が21美。建築を勉強していく上で、21美は避けては通れない作品。つまり、必修科目ならぬ必見建築なのであります。それくらい21美は、美術館・公共建築の在り方を変えた、日本を、いや世界を代表する美術館なのです。にもかかわらず、恥ずかしながらまだ行けてなかったんですね。だから、今回の行き先が金沢となった訳です。

 

さすが世界でも有名な美術館だけあって海外からのお客さんも多く、平日の展示終了2時間前にもかかわらず、チケットカウンターは大混雑。21美の集客力は大したもんです。30分ほど並んでやっと購入。次回からは前売り券を購入しときたいと思います。

 

さて、メインの展示ですが、普通の美術館と異なって、21美には順路がなく、展示室それぞれが独立していて、鑑賞者は自由に歩いて好きな展示室にいくことができます。これがなんでかわからないけど、すごく楽しい。人と活気にあふれている。素晴らしい空間・建築だなと素直に感じましたね。

 

あ、順路がないと書きましたし、このことに対する批判もしばしば耳にするんですが、21美は展示室が14個で、今回は2つの企画展が開催されており、一つの企画展あたり7個しか展示室がないので、経路の選択肢が多すぎるということはなく、迷うほどではありません。美術館全体を上手に、取り外し可能なガラス壁で区切っているんですね。かつて「ポンピドゥーセンター」のような、あらゆる展示が実施できるよう仮設壁で展示室をわけるスタイルが流行し、結局このスタイルは仮設壁の安ぽっさが問題で廃れていった訳ですが、21美はちゃんとした展示部屋と可変なスタイルのいいとこどりをしていると言えますね。

 

展示室自体は大小さまざまでしたが、基本的にはホワイトキューブでこれといった印象はなし。しかし、これは平凡とかいう意味ではなくて、トップライトで自然光を取り入れたりしているにもかかわらず、違和感なく美術品に集中できるということで、SANAAの設計力の高さを実感します。ただし、混雑していて、子連れも多いことから、作品とじっくり対峙して鑑賞できる感じではありません。21美は、街に開かれた、もっと気軽に美術鑑賞を楽しもうよというスタンスの美術館なのだと思いました。何度も言いますが、とにかく楽しいんです!

 

SANAA設計のラビットチェア。かわいい。

f:id:konikoni_taihei:20180829190934j:plain

 

展示を見終わって外に出てくると、夕焼けの時間でした。写真は、恒久展示の「雲を測る男」。恒久展示はこの他にも「スイミング・プール」などがあり、どれもユーモアに溢れていたり、体験型だったりと楽しいものでしたね。

f:id:konikoni_taihei:20180829190937j:plain

 

展示会ゾーンの周囲に設けられた交流ゾーンには、ベンチやロッカー、アートライブラリーやミュージアムショップがあり、18:00の展示終了以後も22:00まで開放されています。(ライブラリーやショップはそれより早く営業終了) 21美は美術館全体が、とにかく透明で均質な抽象的空間にまとまっています。しかし、写真にすると、そのかっこよさ・楽しさが伝わらない。(建築のデザインが素晴らしいので、適当に撮ってもかっこいいですが、実際はもっとかっこいいんです。) 21美の写真撮影は、後日リベンジすることにします。

architecturetrip.hatenablog.com

 

f:id:konikoni_taihei:20180829190940j:plain

 

夜になると、より一層建築の抽象性が強調されます。

f:id:konikoni_taihei:20180829190942j:plain

 

さて、夜ご飯は金沢で大人気のB級グルメの「第7ギョーザ」へ。行くとびっくり、このお店単独なのに、3階建ての大きな建物、100台の駐車場。それなのに駐車場はほぼいっぱい、店内には順番待ちの人々。どんだけ人気やねん。しかし、一階はカウンター席のみで回転は早く、そこまで待つことなく餃子にありつくことができました。(食べている後ろでお客さんが並んでいるので、冷ややかな視線が飛んできそうで長居できないんですよね。これもひとつの戦略?) 名物らしいホワイト餃子を注文。小籠包のような珍しい形と、ぱりっとした厚い皮が特徴で、癖になる味。あっという間に10個とご飯、お吸い物をたいらげ、完食。その後のレジで驚いたのが、一応店員がいて接客してくれるのですが、お金はお客が機械に投入、おつりも自動でと、システマティックな回転率維持がとても印象的なお店でした。

 

f:id:konikoni_taihei:20180830003559j:plain

 

 その後はスーパー銭湯、ネカフェで一日終了。翌日も金沢建築巡りが続きます。