建築巡りの備忘録

最近始めた建築巡り。見学して気付いたことの覚え書き。

金沢駅東広場 鼓門・もてなしドーム 金沢の庇文化を象徴している!?

設計: 白江龍三+トデックほか

訪問日:2018年8月8日(水)

 

昼食を食べに、金沢駅まで戻ってきました。金沢百番街の「8番らーめん」へ。本店は石川県加賀市国道8号線沿いで、北陸三県以外にまで進出している、北陸最強のラーメンチェーンであります。味は味噌にしましたが、たっぷりの野菜とちゃんぽんのような麺が特徴で、唯一無二の味。ラーメンとして良い出来なのかは分かりませんが、「8番らーめん」という食べ物として病みつきになるおいしさがありました。関西における天一みたいな感じですね。きっとまた時々食べたくなるのだろうなー。

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ラーメンはさておき、金沢駅といえば「鼓門・もてなしドーム」。北陸新幹線開業の際さんざんメディアで紹介されたのもあって、金沢の新シンボルとなりつつある気がします。

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力強さを感じさせる柱。その中に配管などが通されており、機能とデザインを上手く両立させています。ドームに降った雨水を再利用したり、バス停の屋根には太陽光パネルが設置されるなど、伝統的な見た目に反し、ハイテクな現代建築です。

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ガラスとアルミ合金でできた「もてなしドーム」。その大きさと迫力に圧倒されます。案内板には「雨や雪の多い金沢を訪れた人々に、そっと傘を差しだす金沢人のやさしさ、もてなしの心を表現するもの」と説明されていました。金沢駅から張り出しているので、広義の庇と捉えていいのかもしれません。トラスがひたすら続く構造的なデザインで、構造を学ぶ建築学生にはアツい建造物。

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地下に続く大階段と円形の吹き抜け。地下広場はイベントスペースとして使われているようです。滝があります。

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憩いの場となっている親水空間。駅前正面をロータリーにせず、このように歩行者に開放しているのが素晴らしいなと思います。また、犀川浅野川に挟まれた河岸段丘に位置する金沢は、湧水が豊富で用水なども多く、水の表現が豊かに感じます。「歩行空間」「中間領域(庇)」の豊かさも金沢らしさと言えるでしょう。

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とにかく巨大で豪華な新・金沢のシンボル。莫大な予算がかかったことと思いますが、これによって「金沢ブランド」が高まり、多くの観光客が来てくれることを考えると、十分元は取れているのだと思います。

 

また、最近までこの建築の存在を知らなかったのですが、実は2005年3月にお披露目されていたそうです。北陸新幹線開業に合わせてではなく、先立って街づくりを実行していたからこそ、金沢には多くの観光客が来るのだと思います。目先のことにとらわれず、「金沢ブランド」向上のために先行投資して、魅力ある都市を築き上げていく石川県・金沢市は、本当にブランド経営がうまいなと感心するばかりです。