建築巡りの備忘録

最近始めた建築巡り。見学して気付いたことの覚え書き。

金沢ビーンズ ロードサイド建築に対する切り込み隊長

設計:迫慶一郎

訪問日:2018年8月8日(水)

 

郊外まで車を走らせ、「金沢ビーンズ」へ。幹線道路沿いに建つ本屋です。


名前の通り、豆のような楕円の平面が特徴で、蔵書はロードサイド型書店では日本最大級の80万冊に登るそうです。


「玉川図書館」とは対照的に、本棚で囲まれた壁面ですが、曲面になっていることもあって圧迫感は感じません。本によって閉じられた世界を切れ目なくぐるぐる歩き回ることができます。

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3階の漫画売り場。万引き防止のため、放射状のレイアウトで見通しがよくなっています。

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2階。インデックスは、大きな文字やカラフルな色を用いており、遠くからでも目的のコーナーをすぐに見つけることができます。そして、そこに近づくとさらに詳しくカテゴリーが書かれており、情報を二層構造で明快に伝えています。トイレなどのサインもしっかりデザインされており、利用者のことをよく考えて設計しているなと感じました。

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レジや検索コーナーの机なども豆型で遊び心があります。

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ソファや窓際の立ち読み台など、くつろげる場所が至る所に作られており、本屋としてなかなか画期的であるとともに、心地よい空間になっていると思いました。実際、見学中ひっきりなしにお客さんが出入りしていました。


うねった曲面が印象的な外観。三階建てなんですが、窓をランダムに配置することでそれが分かりにくくなっています。

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実際は立ち読み台がほとんど利用されてなかったり (なんとなくあの壁際は居座るよりも、ぐるぐると回遊する場所な気がします)、予算も限られていたでしょうから、上手くいかなかったところもあるんだろうなと感じましたが、空間の在り方やサイン計画など、実験的要素の強い建築な気がします。

 

ともあれ、画一的でおもしろくないハコモノが並ぶロードサイドに一石を投じる、そういう意味で価値ある建築でした。

 

その後、すぐ近くの「石川県庁舎(山下設計)」に寄り道。県民に開かれた「森の中の県庁」を目指しているようで、建物周囲には「県民の杜」という緑地帯がある他、19階は「展望ロビー」として開放されています。周りに高層ビルがないので、東西南北どの方向も遠くまで見通せます。晴れた日には白山や立山連峰も見えるそうです。日が沈んでから来たので、夜景が綺麗でした。


さて、楽しみの一つ、夜ご飯は「金沢おでん」にしました。繁華街の片町交差点に位置する、赤玉本店へ行ってきました。ちなみに、金沢は人口に対するおでん屋の数が全国一位で、「金沢おでん」に明確な定義はないものの、京風の薄味で上品なうまみがあるのが特徴だそう。外でおでんを食べるのは人生初です。

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赤玉名物の牛すじ煮込みとおでん。車麩や赤巻など、普段見慣れないメニューもありました。だしに驚くほど奥深さがあり、外で食べるおでんはこんなに美味いのかと感激しました。さて、お会計にて¥2500の文字を見た時、おでんってこんなに高いの!?と驚くとともに、美味しさのあまりついつい食べ過ぎたことを悔やむのでした。ま、本当に美味しかったので良かったです。蟹が食べれる冬に、また来たいと思います。

 

香林坊と武蔵ヶ辻の間にあるカプセルホテルに向かう途中に撮影した片町交差点。京都の四条河原町にそっくりな雰囲気でした。しかも、すぐ近くを犀川が流れており、これも京都の河原町と同じ。道の狭さ、タクシーやバスの多さなど、金沢は本当に京都に似ていますね。

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