建築巡りの備忘録

最近始めた建築巡り。見学して気付いたことの覚え書き。

兼六園 金沢の特徴??「街歩き的楽しさ」を発見する

 

訪問日:2018年8月8日(水)


この日は朝一番から、日本三名園の一つ、兼六園へ。コインパーキングに車を停め、駅からバスで来たのですが、またもコインパーキングにたどり着くまで、ぐにゃぐにゃの道、右折禁止や一方通行、さらには渋滞にも阻まれ、苦戦。やっぱり金沢の運転は難しいです。


さて、先に兼六園の感想を要約しとくと、21美との共通点を発見し、金沢らしさが少しずつ見えてきたなという感じ。具体的には、「方向」「様子を楽しむ空間」について。


兼六園下・金沢城のバス停から坂を登って、桂坂口から入園。兼六園には、この他にも6つの入場口があり、あらゆる方位から入場できます。ここで思い出したのが、昨日訪れた21世紀美術館。21美も、ぐるっと周囲を散策することができ、東西南北4方向に開かれているのが特徴。似ています。


また、金沢の道路と同じく、兼六園内の道もぐにゃぐにゃ。入口の方位が定まらないことも相まって、今どっちを向いているのか非常に分かりづらい。


以上のことから、複雑で方向意識の薄い街の構造が、金沢らしさの一つなのかもしれないと思いました。では、なぜこのような街構造になったか。兼六園茶屋町などが残る文化都市・金沢は元々城下町なのですが、その防御のための入り組んだ街構造までもが、今日に引き継がれているのだろうと思います。そうだとすると、道が狭くて運転しにくいのも納得ですね。


そして、この複雑な街構造が、より多くの街区・曲がり角を生み、人々の流れ・動きを作り出しているのではないでしょうか。だから、歩行者は楽しく街歩きができ、それが金沢の魅力となっている訳です。金沢が観光地として人気を誇る理由の一端が分かった気がしました。


金沢のシンボル「徽軫灯籠」
この時はまだ空いていてゆったり散策できたのですが、しばらくすると海外の団体客が増えてきました。美術館開館前の朝に来てしまうのが正解です。ちなみに、手前の橋は虹橋、奥の建物は内橋亭というそうです。

f:id:konikoni_taihei:20180831095022j:plain

 

見事な枝ぶりの唐崎松。冬になると、雪吊りが行われます。

f:id:konikoni_taihei:20180831095038j:plain

 

栄螺山より霞ヶ池を見渡す。こうしてみると、兼六園が高台にあることがわかると思いますが、どうやってこの大量の水を引いてきているのでしょうか。実はかなり離れた上流から地下水道を通し、サイフォン効果を用いているそうです。これは驚き。高台にある分、見晴らしがよく、散策してて気持ちよかったですね。

f:id:konikoni_taihei:20180831095103j:plain

 

2000年再建のお茶屋「時雨亭」。数寄屋造りの建物で、中の茶室でお食事している方がいます。

f:id:konikoni_taihei:20180831095106j:plain

 

兼六園について気付いたこと2つ目、「様子を楽しむ空間」。金沢は京都に比べて、カメラマンは少なくて、カップルや女子旅、家族旅行の人々が多く、その理由について考えたのですが、兼六園の風景は、どちらかというと風景それ自体を楽しむというよりも、人が入り込む隙があって、人々がそこで活動している様子を見て楽しんでいるんだとと感じました。実際、徽軫灯籠や時雨亭の写真は、モデルがいるほうが絵になると思います。

 

反対に、京都のお寺などは、風景それ自体で完成された風景。だから、京都には多くのカメラマンが押し寄せ、一方、人物を美しく見せてくれる最高の背景である金沢には、カップルや女子旅グループが集まるのだと理解できました。

 

なんてことを考えながら、歩き回っていると、あっという間に1時間が経過。兼六園、予想以上に広いです。しかし、上に書いたように、回遊していて楽しい空間ですし、他にも夕顔亭や花見橋など、見どころが点在しているので、全然疲れないです。やっぱり、日本三名園は伊達じゃない、観光地として完全に成功しているなと感じたのでした。